【マンホールで知る町自慢】富山市

富山市のマンホールに描かれているのはアザミの花です。赤と緑にカラーリングされた色鮮やかなアザミがズラーリと並び、まわりにもアザミの葉がデザインされています。

富山市のマンホールに描かれたアザミ

富山市のマンホールに描かれたアザミ

「越中売薬」の町・富山だけにアザミにも薬効が!

富山市は、昭和48年3月5日に「市の花」アザミ、「市の木」ケヤキ、「市の花木」ツバキを制定しています。
越中富山の薬売り(「越中売薬」)として有名な「薬のまち富山」だからこそ、薬用効果で知られる植物アザミを「市の花」として選んだのです。

アザミ(和名・野薊/学名:Cirsium japonicum)は昔から、根の成分が利尿、解毒、止血などに効能があるといわれ、葉の汁には皮膚の腫れや炎症を抑えるとされています。

富山は藩政時代から「越中売薬」が知られ、独特の配置家庭薬というスタイルを築きました。
また、蝦夷地(えぞち=現在の北海道)で産した昆布を富山の売薬商人が琉球(現在の沖縄)から中国へと運び、北前船の下り船で中国からの和漢薬の材料が密かに富山へと運び込まれました。有名な「反魂丹」はこうして生まれたのです。

熊が生息した立山を控えたため、生薬として有名な熊の胆(くまのい)を生薬に混ぜた、広貫堂の「熊膽圓」(ゆうたんえん/現在は熊胆ではなく牛胆を使用)も誕生。

そんな、「薬都・富山」にふさわしい花としてアザミが選ばれたのは当然のこと。
マンホールのふたにアザミが採用されたのは昭和61年。
「アザミ」をモチーフに、富山市の職員がデザインしました。

「薬都・富山」と呼ばれるように富山市は北前船で売薬業が発達

「薬都・富山」と呼ばれるように富山市は北前船で売薬業が発達

富山市の「市の花」はひまわりに!?

ところが、平成21年5月20日、市民のアンケートをもとに検討され「市の木」ケヤキ、「市の花木」ツバキはそのままに、アザミは「市の花」から落選してしまったのです。
なんと、現在では富山市の「市の花」はヒマワリです。

ヒマワリ(和名・向日葵/別名:日輪草/学名:Helianthus annus)も、ちゃんと薬効のある花です。
種子からとれるヒマワリ油には、食用としてもポピュラーなオイルです。
リノール酸が多く、高脂血症や高コレステロール血症、動脈硬化を予防する働きがあるとされています。
ヒマワリの生薬名は向日葵子(コウジツキシ)、中国漢方ではヒマワリの花をのぼせ・めまいの改善に、葉を苦味健胃・利尿に、根を利尿薬に用いているそうです。
 

現在の富山市の「市の花」はヒマワリ

現在の富山市の「市の花」はヒマワリ

それに、なによりヒマワリが選ばれたのは、その明るいイメージから。
アザミにはトゲもあり、その花言葉は「復讐」、「触れないで」、ひまわりの持つ力強さにはかなわなかったのでしようか。

個人的には中島みゆきのデビュー・シングル『アザミ嬢のララバイ』は好きなんですけど。
やはりそのイメージはちょっと暗い?

こちらは富山市水道局の水道仕切弁の蓋

こちらは富山市水道局の水道仕切弁の蓋

 

ABOUTこの記事をかいた人

たけだゆきえ

(一社)プレスマンユニオン事務局長。 全国を取材するかたわら、デザインマンホールに注目しています。なぜなら、そこには郷土の自慢が凝縮されているから。何気ない足下のマンホールが、実は地域活性にとって重要な役割を担っていることから、ウエブマガジン「マンホールStyle」を運営中です!